活動レポート

第594回 実地医家のための会 1月例会

テーマ:楽しく食生活の改善を指導するコツを伝授します
講師:国立病院機構京都医療センター 臨床研究センター予防医学研究室
   室長 坂根直樹
日時:平成30年1月21日(日曜日)
場所:東京医科歯科大学 B 棟5階症例検討室

[はじめに]
今回の例会は、京都医療センターの坂根先生を講師に迎え、患者さんへの効果的な食事指導についてご講演いただいた。坂根先生は糖尿病医の専門家であるが、その中でも患者の生活習慣改善指導に関して日本の第一人者といっても過言ではない。坂根先生が生活習慣指導に取り組んだ動機は表1であるが、我々実地医家が日常診療の場でしばしば遭遇する患者の言い訳である。坂根先生は、この言い訳を否定して叱るのではなく、この患者の行動を改善するために研究と実践を重ね、行動変容に最も適した指導方法を確立した。今回の例会では、その手法の一部を紹介していただくと同時に、実際の診療現場でその技術をどう生かすかを、グループワークを交えてそのコツを伝授していただいた。

[指導の実際]
メタボになりやすい人が食べたくなるメニューは図1のようなものであるが、一般的にそれを抑えるための行動は図2のようになる。それに対して、我々がよく行う外来での食事指導は、食べなきゃ痩せる式の図3のような指導になってしまうことが多いが、それではできてない部分を指摘して責めたり、人格を否定するような指導と同様に、患者のやる気を削ぐことになりかねない。そうすると患者は抵抗を示す(図4)。このような抵抗を無くすためには、患者の能力を見極め。指導の難易度によって教えるテーチングを行うのか、指導するコーチングを行うのかを、患者に応じて変えていくことが重要である(図5)。
 特に患者の性格によって指導方法を変えていくと効果的であ理、患者の性格分類(冷静な青;分析家、平和な緑;良い人、燃える赤;親分肌、太陽の黄色;楽天家の4つ)を図6に挙げたが、それを分類するための質問票が表2である。そして、患者の性格を把握した上で、生活習慣改善の説明をしたり(図7・8)、上手に褒めたり(図9)、カーボカウントの教え方(図10)などについても、具体的に提示された。
 次に、食行動の3因子である以下の3つについて説明があった。
1. つい食べてしまう(外発的摂食)
  誘惑に負けないような対策(刺激統制法など)が効果的である
2. 寂しいと食べてしまう(情動的摂食)
  食べること以外にストレスを解消法する方法を持つ
3. 小さめなものを選んでいる(意識的減食)
  ポーションコントロール法を用いる
まず、刺激統制法であるが、肥満者は図11のように、空腹である前に常に食べたいという衝動があり、満腹になっても食べたいという欲求が止まらない。そこで刺激に弱い人は、図12のような刺激を減らす工夫をすると良い。
 また、寂しい時や辛い時にそれを和らげるために食べたいという欲求(情動的摂食)に対しては。寂しい、辛いなどのストレス状態を改善するための食べること以外のストレス解消法を持つことが重要である。そして、意識的に減食するにポーションコントロールという方法があり、その説明があった。ポーションコントロールとは、メニューの品目ごとに、一人前の料理盛り付け量を標準化し調理することであり、それを盛り付けるための皿を実際に提示された。また、それを使ったダイエット用ヘルシープレート(図13)、糖尿病用ヘルシープレート(図14)、透析予防用ヘルシープレート(図15)を例示しされた。このプレートを使うと、必要な食事内容と必要量が具体的にわかって日常生活の食生活を考える極めて有用な手段となる。
 最後に、簡単かつ効果的な行動変容の手段として、毎日体重計に乗ること(図16)や週単位で考える食事療法(図17)など、なかなか生活習慣を変えられない患者に対する指導方法が紹介された。

例会資料